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「アメリカ軍を解放軍として美化し、日本軍を悪人として描いている。信憑性のないドキュメンタリーだ」と批判する男性。背景を考えた。 [沖縄戦ー感想]

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「アメリカ軍を解放軍として美化し、日本軍を悪人として描いている。信憑性のないドキュメンタリーだ」と批判する男性。背景を考えた。

首を捻る意見だが、検証しよう。まず「アメリカ軍が解放軍?」どの場面を見てそう感じたのだろう。まず上陸前に艦砲射撃。多くの県民が犠牲になっている。多くの人が殺ろされている。多くが犠牲になったという体験者の証言は何度も出てくる。「アメリカが来てくれたので解放された」という証言は1つもない。どこが解放軍なのか? 

そもそも沖縄は日本の県であり、太平洋戦争中のアジアの国々とは違う。解放と言う表現自体がおかしい。もちろん、以前は琉球国ではあった、と思ったとしてもアメリカ軍が沖縄で多くの住民を殺戮している。とても「解放」とはならない。「解放軍」と言う指摘は完全な誤り、成立しない。

なぜ、そんな指摘をしたのか? 想像するに、これまでのドキュメンタリー映画、アメリカ軍の攻撃で多くの県民が犠牲になったことは描いたが、アメリカ軍もまた多くが傷つき死亡したと言うことを伝える作品はほとんどなかった。がだ、この作品ではアメリカ軍も犠牲が出たと言う場面がある。あるいはアメリカ兵が住民に食料を与えたという証言が出てくる。それを見て「これはアメリカ寄りの作品だな」「アメリカに同情している」「アメリカ兵を美化している」と感じた。「アメリカ軍が沖縄県民を救った。そう言いたいのだな?」と妄想したのだろう。

体験者に聞くと「米軍より日本軍が怖かった」と言う。その背後には日本兵は食料がなく、自分たちの生死がかかっていたので住民から食料を取り上げた。米軍は自国から食料を持って来ている。だから余裕。住民にもお菓子を与えたりしている。だが、それは親切ではなく、住民の抵抗を受けないための作戦であること。劇中に登場する専門家が説明している。そこからも作品が「アメリカを美化している」ということにはならない。

なのに批判者はそんな説明を無視。「日本兵は悪くない。犠牲者だ!」という強い思い込みがあり、米兵がアメを住民にあげた話を聞くだけで「美化している」「アメリカ寄りだ!」と感じ、結果「アメリカ軍を解放軍として描き、日本軍を悪人として表現。信憑性のないドキュメンタリーだ」という的外れな結論に至ったのだ。

日本軍も米軍も多くの被害を出した。でも、一番被害が大きいのは住民だ。そしてどちらが正しいではなく、敵味方共に傷つき、犠牲を出すのが戦争だと描いている。だが、彼は強い思い込みがあり「日本は被害者。アメリカが加害者だ!」ということから離れられず「米軍を解放軍にとして描いている」と奇妙な結論になったのだろう。

その批判は間違っているが、もしかしたら家族を沖縄戦で失った人かもしれない。アメリカを極悪に描かないだけで「美化している!」「解放軍だ!」と思えて反発する。あるいは彼の父親、あるいは祖父が日本兵として沖縄戦に参加していたので、日本軍を悪く思えないのかもしれない。また何らかの団体に属していて、歪めた歴史を学んでいる可能性もある。

そのような理由で感情的に歴史を見てしまうとしても、日本軍の蛮行は事実であり、アメリカ軍は多くの県民を殺害している。解放軍ではない。大切のは「感情」や「思い」ではなく、冷静に事実を見つめること。だからこそ、この作品は沖縄戦で何があったか?を体験者の言葉で語るスタイルで描いた。多くの日本人が犠牲になった。だが、アメリカ人も犠牲になっている。どちらが正しい。悪いを描いた作品ではない。「戦争」とは何か?を描いた。そこを知ることが大切なのだ。


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