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「太平洋戦争は日本を守る戦い!」という人たち=彼らが作った???な番組 [映画館公開]

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沖縄戦に参加した元日本兵にインタビューしたネット番組を見た。それを制作した団体は「正しい歴史を伝えよう」というスローガン、ポスター等にもそう記載している。が、彼らのいう「正しい歴史」とは「太平洋戦争は侵略戦争ではなく、日本を守るための戦いだった」「仕方なしに参戦した」というもの。それが正しいいい歴史?その番組もかなりおかしなものだ。

元日本兵に司会者がインタビュー。沖縄に行った目的を聞く。日本兵は前線の兵士であり、上層部の軍人ではない。彼はいう「我々は沖縄を守るために戦いました」すると司会者は大喜び。

「そうですよね!それが聞きたかった。軍は沖縄を見捨てたとか、捨て石にしたとか言いますが、やはり沖縄を守る戦いだったんですね」

兵士は答える。「当然ですよ!守るために沖縄に派兵されたんです」司会者はカメラ目線になり訴える。「みなさん。お聞きなりましたか? やはり日本軍は沖縄を見捨てていない。今、沖縄戦に参加していた方からその真実を聞きました!」司会者なのに大はしゃぎ、視聴者に熱く語りかける。「これからも我々は真実を探して、お伝えしていきます!」出演した元日本兵は何盛り上がってんだ?という怪訝な表情。そんな番組だった。

んー〜ーおかしい。まず「沖縄は捨て石にされた」「見捨てられた」というのは戦後、様々な資料や証言から指摘されていることだ。沖縄で米軍に勝つのではなく、持久戦に持ち込み、体力を消耗させ、血を流させ、死傷者を増やし、時間稼ぎをして、その間に本土決戦をする準備をした。記録もある。それを団体は「違う。沖縄を捨て石にしていない。沖縄を守る戦いだった」と主張したいようだ。

が、それならなぜ、米軍上陸前に沖縄にいた32軍の主力部隊を引き抜き、レイテに投入したのか? 米軍の上陸部隊は約50万人に対して日本軍は11万。そこからして日本軍は沖縄に力を入れていないことが分かる(本土決戦に備えるためセーブした)。さらに、住民避難の指示、計画がなされていない。米軍を抑え、引き止めれば住民が犠牲になっても構わないという意図が見える。実際、犠牲となった20万人内、多くは住民であった。

その守るべき住民を戦闘の補助として、14歳から70歳までの民間人を徴用している。守るより、戦争に参加させている。どう考えても沖縄を守る戦いではなく、本土を守るために沖縄を利用している(この辺は「ドキュメンタリー沖縄戦」でも取材し紹介している)団体はその事実を覆したくて元日本兵にインタビューしたのだろう。が、構図がおかしい。ヤラセとかいうのではない。前線の兵士に対して上層部は本来の目的を伝えないということ。沖縄に行き、米軍と戦うという指示で彼らは参加している。

彼らの当然、日本を守る戦いと解釈する。そのためにまず沖縄を守る。そんな前線の兵士の思いのみを紹介して「捨て石にはしていない」と主張しているのだ。それだけで彼らの主張は証明できない。では、その団体はなぜ? そんなおかしな論を使ってまで「捨て石」ではなく「守る戦い」にしたいのか? 彼らのポスター。先に紹介したものに別のスローガンが書かれている。「自衛隊を軍隊に昇格させる」という一文。そう、日本を戦争ができる国にしたいのだ(もうなっているけど)

そのためには沖縄を犠牲にして、本土を守ったという事実は都合が悪い。自衛隊を軍にする上で、またどこかの地域が捨て石にされるかも?と不安を持たれる。だから、日本全体を守る存在でなくてはならない。そのために過去の事実を再解釈して軍は日本を守った、どの地域も捨て石なんかにしていない。昔からそうだ!と主張したいのだ。

実はその手の団体。いくつも存在する。先の政権はその最たる所の応援を受けていた(今の政権もね)。歴史を歪めて伝えるのは、そんな目的があるから。学校でしっかり沖縄戦を教えないのも、どこかにそんな意図があるからではないか?とも思えてしまう。


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