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被害者にしか分からないことがある。でも、第三者だからこそ気づくこともある。=原発と沖縄戦のことから [戦争について]

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被害者にしか分からないことがある。でも、第三者だからこそ気づくこともある。=原発と沖縄戦のことから

沖縄と原発の問題には共通点がある。どちらも被害を受けている人たちが特定の地域が中心で、他のエリアに住む人たちは他人事となりがちなこと。「気の毒」とか思うが、当事者の気持ちを理解しづらい。また、深刻な問題なので当事者でない者が安易にあれこれ言いづらい側面もある。

スピルバーグが子供の頃。おじさんさんの腕に数字が刺青されており、何だろうと聞いたことがあるそうだ。それがアウシュビッツに収容された祖父が刻印された数字。終戦が遅ければガス室送りになったかもしれない。そんな記憶と自身がユダヤ系であることがきっかけで彼は「シンドラーのリスト」を作る。

そんな風に何か繋がりがあることで、思いを持てると言うことがある。だから「朝日のあたる家」を作る時。自分に資格があるのか?と考えた。福島出身ではない。福島の友達も当時はいない。彼女が福島育ちということもなかった。でも、原発問題は福島だけのことではない。あれこれ考えて、やろう!と思った。

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沖縄戦も同様。沖縄との繋がり何もなかった。そんな自分に資格は?と考えた。が、まず知りたい。沖縄戦を知りたい!という思いがありスタートした。そんな取材の中で、ある研究者の方に言われた。

「近年、戦争体験の方々が高齢でどんどん亡くなっています。あと10年ほどで皆いなくなるでしょう。私たちの世代はよく、お前らは戦争を体験していない。何が分かるか!と言われてきました。でも、それだと体験者がいなくなれば、沖縄戦を伝えられなくなる。そんな事はない。僕ら戦後の世代にもできることがある。そして戦争を体験していない僕らだから、できることもあると思うんです」

その通りだ。原発事故の取材をした時も「私たちの気持ちは分からないでしょう」という人がいた。確かに体験者しか分からないことがある。映画を作った時も「もっと大変な思いをした人もいたんですよ!」と厳しく言われた。が、これが最悪だなんて描いていない。被害を受けた方は傷ついている。理解は難しい。同時に彼らもまた悲しみをどう表現していいか?分からないでいた。

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そんなことがあったので、先の研究者の言葉を実感した。戦争体験者も同じ。彼らしか伝えられないことある。でも、彼には伝えられないこともある。悲しみを伝えることは大事だが、それだけではいけない。なぜ、そうなった? どこに問題があった? 何が背景になった?という側面も探求することが大事。そのためには当事者ではなく、冷静に見つめられる第三者の存在が必要。その研究者は戦争は知らないが沖縄で育ち学んだ自分たちの世代だから、できることがあるという。

だったら、沖縄のことを知らず、ゼロから勉強をスタートする外部の人間でなくては気づかないこと。見えないこともあるのではないか?そう思えて「ドキュメンタリー沖縄戦」の取材を続けた。当事者はいう「お前たちに私たちの気持ちは分からない」その通りだ。でも、理解する努力はできる。そして第三者だからこそ気づくものもあるはず。沖縄、原発に関わらず、それを探して行きたい。


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早田快人

私は戦争体験者ではありませんが、父はシベリア抑留を体験し、
母は空襲による死体の山を嫌という程見た、という直接の体験者でしたから、その話を聞いて育ちました。

戦争体験者がいなくなった時、彼らの体験を直接伝えられてきた
自分のような ”次世代の責任” が問われるのではないか、と、
そう思っています。


by 早田快人 (2020-02-03 04:40) 

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