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歌舞伎俳優・市川猿之助(先代)の言葉。俳優にも監督にも大切なこと。教えられる。 [映画業界物語]

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歌舞伎俳優・市川猿之助(先代)の言葉。俳優にも監督にも大切なこと。教えられる。

先代の市川猿之助。近年では「スーパー歌舞伎」の創設者であり、歌舞伎という伝統芸能の世界にいながら、次々に新しいチャレンジをし演劇界を席巻した大俳優だ。企画、演出、出演と3役をこなしている(実質的はプロデュサーも)そんな先代の印象的なエピソードがある。その話はワークショップ等で俳優たちによく話す。

先代の猿之助が演出した「西遊記」。その稽古のとき。主演の三蔵法師を演じる俳優がこんな発言をした。

「劇中で難しい仏教用語で延々と話すシーンがあります。いえ、その長台詞を覚えるのが嫌だということではないのですが、今回の公演には小学生の団体も来ます。子供には難しいセリフなので、もっと分かりやすい言葉に置き換えてはどうでしょうか?」

それを聞いた先代は即座に答えた。

「あなたがその仏典を理解して話せば、子供であっても理解します。あたがその意味を理解せず、ただセリフとして覚えるから伝わらなくなるのです。意味を理解して話せば必ず伝わります」

その俳優は黙ってしまった。その通りだと感じたのだろう。それはテレビドキュメンタリーで見たのが、僕もまた黙り込んでしまった。俳優だけではない。監督も同じだ。演出する映画の題材。それを理解せずに、シナリオに書かれてあるからと演出しては観客に伝わらないのだ。その猿之助の言葉からだけではないが、理解することの大切さを実感。僕が手がける映画、書道、原発、1983年、1989年という題材は事前に猛勉強した。

その意味で今回の「ドキュメンタリー沖縄戦」も同様。ただ、調べていくと沖縄戦を知るだけではダメ。太平洋戦争だけでもダメ。さらに日中戦争。さらに日露戦争まで遡らなければならなかった。勉強はするが、その全てを描くと何十時間もの長尺作品になってしまう。それをどう沖縄戦で集約するか?という問題がある。その時、猿之助の言葉を思い出した。日露戦争まで描かなくても、監督がそれを理解した上で沖縄戦を描けば観客に伝わるということ。

沖縄戦だけを勉強したのと、日露戦争まで遡り、その流れを理解した上で描くのは全く違う作品になるはず。先に見た某国営放送?の作品。よく作ってはいるが、沖縄戦の表層を撫でただけ。太平洋戦争や日中戦争を知った上で作ってないことは一目瞭然だった。ドキュメンタリーは報道ではない。ある事実を伝えるだけではダメ。ニュースでは斬り込まないところまで描く。観客に沖縄戦を体験してもらうこと。それが今回の作品の目的である。

その「ドキュメンタリー沖縄戦」いよいよ12月頃に沖縄で完成披露試写会が行われると連絡があり。詳細は分かり次第に報告。

特報(動画)=> https://youtu.be/Wv5MK0fRauI



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