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日本は大きな田舎② 別の思い出から検証する=町のプラスより顔を潰さぬこと? [MyOpinion]

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日本は大きな田舎② 別の思い出から検証する=町のプラスより顔役の顔を潰さぬことが大事?

日本という国は大きな田舎説で思い出したことがある。田舎説はもともと感じてはいたことだが、そのメカニズムを論理的に説明しづらいものがあり、あれこれ考えたいたが、友人の経験談と映画「セルピコ」を対比することで、それを明確に把握できるような気がした。さらに、もう1歩進めるために、思い出した件がある。

彼は40代。フィルムコミッションの中心メンバー。故郷愛もあり、金銭のためでなく、地元のために頑張っている。ご存知の通り、フィルムコミッションとは映画撮影のお手伝いをするノンプフォフィットの組織。手数料は取らない。エキストラ集め、ロケハン協力等をすることで、映画撮影を誘致。町のPRに繋げようとする団体。現在は日本各地にある。

ただ、多くは自治体の観光課職員が兼任していることが多く、本来の仕事があるために、職員が面倒臭がり、依頼があっても断ったり、他の団体に振ったりして機能していないところも多い。市長のトップダウンでフィルコミはできたものの。やる気ゼロで、せっかくの撮影依頼を不意にしてしまう地域もある。そんな中、C君は地道に実績を作りつつ頑張っていた。

そんな彼と後輩監督が仕事をした。しかし、後輩はため息交じりでこんな話をする。

「最初、C君の印象は良かった。若いし、やる気あるし、頭もいいし、故郷愛もある。評判通りだと思った。それが、撮影準備でトラブルが起こって、地元の方との問題なんだけど...色々あって...」

要約すると、そのトラブルをC君がなんとかすると言ってくれたのだけど、何の報告もない。まだ揉めているのかな?と聞きづらかったと後輩はいう。監督は作品に専念すべきで、あれこれ制作的なことは他に任せることも大事。でも、C君から何ら報告はない。心配で聞いてみたが、はっきりと答えない。どうも、1度、当事者とは話したがそれっきりのようだった。

で、気づいたのはC君は若くてやる気はあるけど、トラブル収集が苦手のようで、問題が起きると、自分で抱え込んでしまい、何もせずに黙ってしまう。聞かれても「まだ、ちょっと」とか報告せず。皆が忘れるのを待つようなところがあった。結局、問題は解決せず。迷惑がかかった当事者は怒ったまま。

でも、C君は若いし、年上のおじさんたちに厳しく言えないところがあるようだった。後輩は分からないではないと思ったが、また似たような問題が起こる。今度はC君。その人を庇う。その原因を追求せず「僕から話します」と言うだけ。

その後、何の報告もして来ない。聞かないとその件に触れない。後輩監督が怒る。「期待していたのに!」この時、後輩はC君がトラブル解決能力が低いのだと思ったらしい。が、今、その話を思い起こしてみると、そして先の「日本人は田舎者」論で考えると、彼も揉めたくなかったのではないか? 

だから一度話してダメなら封印。相手を責めたり追求したりしない。自分が抱え込み、皆が忘れるのを待つ。迷惑がかかった方にも何も言わない。だから解決もしない。皆が忘れて何事もなかったように仲良くする。自分が何とかするといい、誰も行動させないことでトラブルを大きくしない。それが彼の方法論なのだ。

後輩は怒っていたが、分かる部分もある。田舎で問題を起こした人を誰も責めないのは、今後も同じ町で付き合っていかねばならないから。C君も同じ発想なのだ。狭い田舎で育ったので、そんな手法を知らず知らずに学んだ。でも、彼が少し違うのは、先の人たちと違って、知らない振りをするのではなく、相手と話す。

相手が納得すれば解決。でなければそのまま封印。それは少し努力していると言える。その町でできる限界なのかもしれない。狭い社会ではそのくらいしか出来ない。年配の実力者に睨まれたり嫌われたりしたくない。封印しても、皆、察してくれて「どうなった?」とは訊かない。そして忘れてくれる。ただ、それでは新しいことはできない。トラブルのたびに封印しては前へ進むことは難しい。

だから地方では新しいことがなかなかできない。そんな中でC君は彼なりに頑張っているということだろう。批判は簡単だが、フィルコミで街を活性化したい気持ちは本当なのだ。でも、田舎ではそんな方法を取らざるを得ないのだ。

地方の友人に聞いた話だが、彼の村には長老が3人いる。皆、仲が悪い。何かをする時、3人の顔を潰してはいけない。村のためになることをするより、3人の顔を潰さないことが大事。なるほど、C君の手法は有効だ。地域社会が閉鎖的になり、都会から遅れていく背景なのだろう。その後、後輩は町の人に言われた。

「C君とうまく行ってないんだって? ダメだよ。仲良くしなきゃ!」

後輩はかなり厳しい進言をしたらしい。でも、それは映画を進めるため、より良い作品にするため。なのに仲良くしていないと解釈されたようだ。

「地元の人から見て、映画ができて町がPRされるより、仲良くやること。皆の顔を立てること。問題を起こす人がいても見て見ぬ振りをすることが大事なんだろう」

そう感じたという。仲良くするーという聞こえはいいが、町のプラスより、揉めない。顔を潰さないということなのだ。

この構図。少し前の自民党と同じだ。国民のためになる政治より、実力者たちの顔を潰さないこと。顔を立てること。会社でも派閥があり、それぞれへの根回しが大事だったりする。会社の利益より、顔を潰さないこと。どちらの世界も結局、誰のための政治であり、ビジネスなのか?と思える。

しかし、政治も会社もそんなことをやってられないほど、ヤバい状況になっている。生き残りを賭けて、エゲツない生存競争をしている。それがいいかどうかは別にして、地方ではそんな今でも、揉めないこと。仲良くやることを大事にし、結局、そこから前に出れない状態が存在するのだ。いろんな面で。そんなことを考えている。



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